猫の感染症予防は、飼い主の重要な責任のひとつです。今回は猫たちが感染しやすい一般的なリスクと、3つの予防法をご紹介します。ニャン生30年時代に突入しそうな現代、少しでも健康に過ごしてもらうため、基本的な対策はとっておきましょう。

① ウイルス性感染症

6つの病気と特徴

  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎白血球減少症
  • 猫白血病
  • 猫クラミジア感染症
  • 猫エイズ

主な猫の感染症はこの6種類です。下記に特徴をまとめてみました。

猫ウイルス性鼻気管炎猫カリシウイルス感染症猫汎白血球減少症猫白血病猫クラミジア感染症猫エイズ
症状くしゃみ、鼻水、目やに口内炎、発熱、食欲不振嘔吐、腹痛、発熱、貧血免疫不全、血球減少症結膜炎、呼吸器症状免疫不全、病気の頻発
感染源唾液、鼻分泌物唾液、鼻分泌物接触感染唾液、血液、母乳分泌物の接触感染咬傷、性行為
特徴子猫や老猫は重篤になりやすい口内の水疱や潰瘍高い死亡率合併症を併発結膜炎による粘着性の目やに合併症を併発
治療対症療法、抗ウイルス薬対症療法、抗生物質免疫増強剤、抗生物質治療は困難対症療法、抗生物質治療は困難
人や犬への感染感染しない
接種推奨室内猫でも予防が必要外に出る猫
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予防方法

ワクチンを初回は2〜3回接種し、その後は年1回の接種で効果が持続します。その子の必要に応じた種類のワクチンを検討してあげてください。ただし、ワクチンにも副作用がありますので獣医さんに相談して接種を検討してくださいね。

3種混合ワクチン4種混合ワクチン5種混合ワクチン単体
コアワクチン猫ウイルス性鼻気管炎
猫カリシウイルス感染症
猫汎白血球減少症
ノンコアワクチン猫白血病
猫クラミジア感染症
猫エイズ

② 外部寄生虫

ノミ

猫や犬などの、動物から吸血します。高く跳ね回る黒い点のヤツです。外で人に引っ付いて家までやってくることもあります。吸血のたび5個前後の卵を産み、卵は寝具や畳の隙間などで孵ります。
アレルギー性皮膚炎や、腸管に寄生するサナダムシ(瓜実条虫)の寄生、猫ひっかき病など、人にも影響のある病気の原因を運んできます。

マダニ

ノミと同じく吸血する虫ですが、一度食いつくと皮膚に引っ付いたまま吸血し続け、その体はパンパンに膨れ上がります。半袖などで草むらなど入って噛まれたというケースは多いですよね。
マダニは皮膚に噛み付くと、セメントの様な液体を注入し皮膚と口先をがっちり固めます。引っ張っても取れず、皮膚トラブルになりますので必ず病院で処置してもらいましょう。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や、ヘモバルトネラ症などの病気の原因にもなりますので、必ず対策をしておきましょう。

予防方法

ノミ・ダニ対策には、室内で過ごす猫ちゃんには春〜秋の毎月1度、外にも出る猫ちゃんには年中の毎月1回、猫の首の後ろに滴下するタイプの液体薬を使用します。
ノミやダニのような外部寄生虫だけでなく、内部寄生虫を駆除・予防できるものもありますので、獣医さんと、どこまでのカバーが必要かを相談した上で毎月のケアを行なってください。

③ フィラリア症

フィラリアとは

心臓に寄生する虫のことです。フィラリアは「蚊」を媒介して、犬・猫・フェレットなどに寄生します。
フィラリア症の犬猫から血を吸った蚊が、他の犬猫の血を吸った時に幼虫を体内に産みつけます。

体に入ると、心臓へ移動し、成虫になると細長い素麺の様な形状になります。
確実な治療法はないため、一度感染すると、治療にはリスクや危険を伴います。直接虫を取り除く手術をする場合もありますが、初期であれば薬を使って徐々に虫を殺していきます。ただ発見が遅い場合や宿主が高齢などの場合であれば、一生の付き合いになってしまいます。また虫によって受けたダメージは治ることがありません。

猫のフィラリア症は「肺の病気」といわれます。咳や呼吸の乱れ、体重減少が症状としてみられます。猫の感染自体は犬に比べて少ないですが、感染した場合は、目立った症状がなくても着実にダメージを受け、突然死するケースがあるようです。

予防方法

ノミ・ダニ対策と同じように、5月〜12月の毎月1回、首の後ろに液体薬を滴下することで予防できます。例えば6月に感染した蚊に刺されたとしても、7月の投薬で体内の幼虫を駆除することができます。

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