近年、保護活動がテレビなどでも紹介されることによって活動や団体に対する注目が高まりました。しかし、保護犬や保護猫を迎えようと考える人々が増える一方で、人の善意や良心、ましてや命を踏み躙る「保護ビジネス」が問題になっていることをご存じでしょうか。

保護ビジネス

犬猫たちを守る保護団体に見せかけて、不透明な金銭を要求したり、悪徳な繁殖・販売業者に加担したりするビジネスのことをいいます。

① ペットショップの保護活動

ペットショップでは子犬や子猫がよく販売されていますが、最近は保護犬や保護猫の里親探しをしている店舗も存在します。一見、保護活動のように見せかけて、実質は「店舗で売れ残った犬猫の販売だった」という場合もあります。譲渡の際、フードの定期配送やペット保険を契約させることでお客様にする仕組みです。

  • 純血、血統書付きの犬猫ばかり
  • 保護された経緯の説明が不十分
  • 誕生日が明確に記載されている
  • 飼い主の年齢制限や収入などの提示が必要ない
  • ワクチン接種や健康診断の費用が相場よりも高額
  • 商品の定期購入や特定のペット保険の加入を求められる

実際に、某大手ペットショップでも行われていることで問題視されています。
もちろんペットショップの犬猫が悪いという訳ではありません。個人的には既存の血統を守る意味でも、ブリーダーやペットショップは必要なのだろうと思います。
ただ、保護活動を利用して人の善意をバカにするような姿勢に悪質性を感じるのです。
それと同時に、売れ残った犬猫たちが行き着く先の問題も根本的に解決していかなくてはならない課題だと言えます。

② 繁殖業者の下請け

悪質なブリーダーや繁殖業者から売れ残った犬猫たちを買い取り、保護活動を利用する例です。繁殖を引退した子や先天的な病気があった犬猫を業者から安くで買い取り、飼育崩壊現場からレスキューしたように見せます。
不要な犬猫を安くで買い取り、譲渡先からは医療費や活動資金を要求。ビジネスとして成り立っていますよね。
繁殖現場からすると、産ませさえすれば例え健康状態が悪くても買取業者がいる限り安心ですから、その循環が無くなることはありません。劣悪な環境から動物を救いたいという気持ちを利用した悪質性があります。

③ 偽の保護団体

保護団体が乱立しているとも言える現代、保護団体を名乗っておきながら、実際に活動は行なっていない団体が存在するのも事実です。正直なところ団体を設立させるだけであれば、簡単な公的書類で済んでしまいます。
情に訴えるような写真や動画を作成し、寄付金を募り、その資金を個人の利益に流用されていることがあります。特定の団体に寄付などをする際は、収支報告書などがホームページに掲載されており、きちんと犬猫のケアや保護に使われているか確認しておきましょう。

悪質な個人ボランティア

組織として行われているもの以外にも、個人のボランティア活動が問題になる場合もあります。

① 無許可の活動

これは実際に直面した事例ですが、個人の活動家が自宅に野良猫を独断で捕獲し、避妊・去勢費用や飼育費用を自治体に寄付金や援助を要求するケースがありました。行政によっては10匹以上は申請がいるなど、一定数以上の場合は頭数管理を促している地域もあります。
実際このケースでは、捕まえられた猫が小さな箱に入れたれたまま劣悪な環境で管理されていたことをはじめ、避妊・去勢後に違う地区へ勝手にリリースしたり、捕獲や飼養を独断で行っていたこと、近隣住民との援助を巡っての金銭トラブル、猫を見せてあげると近隣の子どもたちを家に招いたりしていたこともあり問題にあがりました。
活動のきっかけは善意だったとは思います。ただ無知識での身勝手な活動はトラブルの元になりかねません。

② 限界からくる暴行

善意から活動に参加した方の中でも、大変残念なことに保護している動物を殴ったり蹴ったりしていたという事例が多々あります。実際に関わったあるグループでは、適切な食事や水、清潔な環境を提供されておらず不衛生さゆえ病気を発症してることもありました。スタッフの数など稼動できる人手と保護頭数が釣り合わなくなった時、起こりやすくなるのではないかと思います。
保護という目的が見えなくなってしまうのはごく一部の人です。現に告発の多くは他のスタッフさんによるものが多いのも事実です。当時、私がお会いしたグループのリーダーさんも、精一杯やっているのだからと正当化されている様子でした。自身に余裕がないと出来ない活動であることに間違いありません。

③ 感情的な判断

①の事例にも類似しますが、個人ボランティアが感情的判断で動物を保護したり、里親探しを行ったりすることがあります。可哀想だから、信用できる里親候補者がいないから、そのような理由で自宅での保護頭数が増していき、結果、多頭飼育崩壊に陥るケースもあります。ここまでいってしまうと、保護団体や行政に依頼して介入していただく他に道はありません。感情だけでの判断は、時には悲しい結果をもたらすことがあります。

信頼できる保護活動とは

信頼できる保護団体を探すには、以下のポイントを参考にしてみてください。
少しでも気になること、不安に思うことがあれば直接聞いてみるのもいいでしょう。細かいことを質問してくれる里親さんは、前向きな理解がある方が多いため、快く答えていただけるはずです。

  • 関係者の評判や、発信内容の信頼性を確認する
  • 財務情報や寄付金の使途や経費の内訳が明確に示されているか
  • ボランティアや譲渡会に参加できる機会があるか
  • 活動の様子や保護施設の写真や情報が掲載されているか
  • かかりつけ医の有無や提携している病院があるか
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